そしてアメリカに来た後で以下の要件を揃えます
#6 大学機関に行き会計や会計に準ずる科目の修学を行う事
#7 OPTを取得する事
この#6、#7は分けて記載しましたが、実質的なアクションは重なっています。具体的になぜこのアクションが必要か、そしてどうすればいいか説明していきます。
#6 会計履修の必要性について
まず少なくとも中、大規模の会計事務所が採用にあたりまず気にするは会計の素養と当該の学習を大学で積んでいるか(つまりその勉強を会計士試験の資格取得が認められる程度には履修しているか、会計分野の就労経験があるか)であり、雇い入れる時点で働くためのビザを持っているかを必ずしも見ているわけではありません。しかし外国人(アメリカ人以外)である場合、OPTがあって最低限の期間インターンができるかどうか、でなければその他の就労ビザをもっているかはしっかりみます、でないといい人材でも事務所の採用システム上、雇えない場合が多いのでご注意が必要です。
どうして会計事務所が新入社員を雇う際に大学の会計履修を重要視するか、それはそれがH-1Bビザの取得申請の可否に直結するからです。もちろん当該知識と将来的にUSCPAが業務上必要であるからという理由もあります。
企業が外国人(アメリカで就労するためのビザ持っていない人材)を雇おうとする場合、企業は移民弁護士を通じ国の機関であるUSCISへビザの申請を行う事になります。通常はH-1Bというカテゴリ―のビザを就労にあたり取得することになりますが、このビザは抽選制となっており、発給には毎年アメリカの連邦レベルで上限があります。その抽選に各企業の経営者が外国人新入社員のため、多くの場合弁護士費用をある程度は企業が負担の上で申し込むのですが、そのH1B抽選に申し込むにもその新入社員がUSCISの定める所定の要件を満たしている必要があります。
その要件こそ会計事務所の場合は業務に必要となる会計や税務、商法などの単位を大学で取得していること、またその会計と関連の単位でもってUSCPA試験の受験要件を満たしているかどうかが要件に合うかどうかを判断する上で重要となるようです。詳しいことまでは僕にもわかりませんが、人事から聞いたり調べてみる限り、USCISやDepartment of Labor(労働省、「DOL」と略される)の判断基準として修学、専攻内容が「専門的か」という点をみていることは間違いないです。
もし専攻として「ビジネス、MBA」というだけではビザの取得にあたっては曖昧過ぎて申請は難しいらしく、ビジネスの中でも分野により「マーケティング」であったり、「ファイナンス」であったり(会計事務所での就労が希望であれば当然「簿記論」「会計学」「税法」などが該当します)であったりとその担当職種に応じた専攻分野の履修が必要であるようです。ビザへ抽選参加可否は最終的には企業の相談先弁護士とUSCISとのやり取りで判断されるようですが、少なくとも大学を卒業していなかったり、就業しようとしている業界で必要と目される学習を大学で履修していないとみなされた場合はビザの抽選に参加することさえできません。それはつまり、ビザ申請時に弾かれてしまう可能性が採用時に見られた場合、採用する企業側もその候補者の採用を見送る可能性が高いとみていいでしょう。
USCPAの受験要件は州によって変わります。対しUSCISは連邦レベルの組織でありH-1Bビザも州ではなく連邦レベルの概念です。ですのでUSCISが各州でのUSCPA受験要件まで考慮しているかどうかわかりませんが、もしアメリカですでに働きたい州がある程度決まっているのであればその州でのUSCPA受験要件を考慮すればいいでしょう。
以上が会計履修が必要な理由です。
履修のポイントとしては上記でも書いた通り、日本で受けられるUSCPA予備校を活用して、必要単位をなるべくオンラインで取得し、アメリカでの修学単位を少なくすることです。なぜならアメリカ現地修学の方が価格がかなり高くつくからです。
ですのでアメリカ現地での会計単位習得はミニマムに抑えると同時にOPTを取ることを中心に組み立てていきましょう。次はOPTについてお話します。
#7 OPTの必要性と取得方法について
OPTとUSCPA受験要件が揃っていれば会計事務所はすくなくとも、採用について考慮するはずです。そうすればインターンとして入社し、事務所を通じてのビザ取得の可能性も出てきます。なぜOPTが必要か、#5でも少し触れましたが、OPTがなければ会計の履修をしていてもインターンとしての労働許可がおりないからです。
そもそもOPT(Optional Practical Training)とは、ビザの一種で、学生ビザ(F-1)で米国にて就学している学生が専攻した分野と関連のある職種で、企業でのインターンシップを行うためのビザです。つまり学校で学んだことを活かしてアメリカの会社などで実際に働いてみるためのビザと言えるでしょう。OPTの期間は合計で最長1年間ですが、このビザが実際にインターンを通じ、次のH-1Bビザ取得につながるため、OPTの取得を目指すことは非常に重要です。ちなみにこのOPTは学位レベル毎に取得可能なので、学士を取得し、1年のOPT、その後修士を取得してさらに1年のOPTといった形で学校に行っていれば複数回のインターンをすることもできます。
さて、ではインターン面接前の最後の関門、OPTはどうすれば取得できるかですが、条件としては次のようなものになります。
OPTに必要な要件
- 1年間はF-1で就学していること(1年間とはOne full academic yearなので、期間が9か月のコースを修了していてもOK)
- 仕事の内容は自分の専攻分野に関係するものであること
- 雇用主は自分で見つけること
- 学位(準学士号、学士号、修士号)や9ヶ月以上のプログラムでサーティフィケートやディプロマが取得できるようなプログラムを受講していること
- 学校が実施するOPTのワークショップに参加すること
- 給与については有償でも無償でもいずれでもOK
引用:Ryugakusite.com より
学士号を取ろうと思えば最低でも3年以上かかるでしょうし、修士でも2年はかかります。OPT取得のために一番時間もお金も省けるのは9か月以上のサーティフィケイトプログラムでしょう。このプログラムは大学の延長履修プログラムで主にすでに学士を取得した人や、社会人経験のある人を対象にしています。主に学士で取得した専攻とは違う分野の専門基礎訓練を受け、その業界で就労の機会を得るためのものです。
実際に僕は日本での大学の学士号は外国語専攻でしたが、アメリカで会計のサーティフィケイトプログラムを利用して会計単位10科目30単位を取得しましたし、僕の妻も大学学士号の専攻ではは触れなかったIT基礎やUXの基礎をサーティフィケイトプログラムで取得し、その分野での就労に成功しています。
このプログラムを9か月分として、コースによって多少ことなるかと思いますがおおよそ30単位から40単位程度の単位取得になるかと思います。同じビジネス関連のプログラムでも内容は専攻コースにより本当に様々ですので会計事務所での就労を目指す場合、上記#6とも関連して、会計を中心とした科目(簿記、初級、中級会計関連、原価計算、連結会計、会計システムなど)がコースの履修科目として入ってないといけませんし、関連のビジネス科目として税法、商法、経済学、コーポレートファイナンスなどを受けることができればUSCPAの受験科目としても認められるものが多いです。
サーティフィケイトプログラムはF-1ビザとTOEFL、IELTS、TOEICなどによる英語力の認定(どの試験を使用するかは学校による、TOEFLが多い印象はある)さえあれば履修可能なものがありますのでいろいろな学校をご自身で調べてみるとよいでしょう。
さて各工程を説明していきましたが、それではこうした諸所の条件をクリアーしていくのにどれくらいのお金がかかるのでしょうか?
次ページは必要経費について!
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