ニューヨーク近郊の会計士 仕事日記 7 コロナで変わった働き方

ニューヨーク近郊の会計士の日記

こんにちはー 駆け出しブロガー会計士、らーきいです。

この記事を書いているのは2023年1月4日、気づけば新年になってしまいましたね。これから繁忙期の空気(まるで気圧が1.5倍くらいにあがったかのよう!)に充満してくるのです。

この地球にいる方ならおそらく2020年のあたまくらいからコロナウィルスというものが拡散してマスクは必須アイテムとなり一時的にだれもが自宅に引き込まざるを得なかったのをご存じかと思います。

当然ですが監査人と呼ばれる人たちも同様で、本来であれば冬場には往査(お客さんのオフィスに行って行う監査作業)して先方と面談したり、質問したり、在庫を数えにいったりと忙しい時期なのですが、コロナ以降は遠隔にてやりとり、監査作業をするのが全く普通となってしまいました。監査作業であれば往査に行くのは当たり前のことだったのでこの3年くらいのリモート監査は異様と言ってもいいでしょう。実のところリモート監査になっている顧客はまだ大多数、というのが現状です。そんなわけで監査人たちの働き方がこのコロナ禍でどう変わってしまったのか、これは主に僕の働いている事務所の話が中心になりますがお伝えしたいと思います。

まずコロナ前について:

コロナは勃発する前の一般的な監査業務での出社ぶりはどうだったかお話しますと、これも繁忙期と非繁忙期にちょっとわかれるんですが夏から12月にかけて非繁忙期については僕の事務所では申請することで週一回のリモート業務がOKでした(確かシニアレベル以上のみ)。基本的に業務はすべて支給のパソコンを使って行うものだけでしたのでこの制度は当時からありがたかったなあと思っています。

繁忙期は基本毎日出社です。明るい時間は基本的に事務所内勤務ですね。繁忙期になると往査(顧客のオフィスを訪れて場所を間借りして仕事をする)もよく入ってくるのでチームで客先の会議室などを間借りしては質問や議論をしたりもしながら調書を作成していきます。お昼は基本チームのみんなで食べます。監査がチームワークなんだよなあ、と感じる時ですね。

監査には顧客の在庫をテストする在庫棚卸立会(詳しくはこちらで)というものが基本的には必ずあり、顧客の倉庫などにお邪魔して品物を数えます。これも12月末や3月末によくやるのですが、コロナ前はもちろんチームなどで出張していました。

コロナ勃発後:

さて上記のような勤務状況だったのですが、2020年の3月くらいからどのようになったか、まず、予兆はあったにせよそれでもびっくりしたのですが人事部からいきなり「来週からオフィスを閉鎖するので勤務は基本的に自宅でやるように」というメールが来たことです。実際そういったメールが来る前から周りで「あの会社完全にリモートになったって」「え、友達の会社も今週からそうだって!」みたいな会話を聞こえてきていたんですが、本当にそんな噂が流れてきてからすぐに僕の事務所のそのようになりました。コロナの噂は2020年1月くらいから聞いてはいたし、2月の最終週にはお客さんとごはんを食べながら「もしご老人がかかったらヤバイらしいよ!」みたいな話をしていたんですが、3月になったらすべてが急変してしまいました。

一度事務所が閉鎖されてからはもう一回も事務所に行く必要はなく(私物をオフィス取りに行くことはあったんですが、総務の方が最低限の出社をしているだけでした)、2021年の9月までずっと自宅勤務という、リモートライフに突入していきました。私はその当時ニューヨークのInwood(マンハッタンの最北部)という地域に住んでいて、まわりの変化もすごかったです。レストランが軒並み締まり、歩く人は少なく、スーパーや薬局などがなんとか空いているという状況、もはや活気のよかったマンハッタンではなくなってしまったようです。もっとも冬場のピークすぎたら外出する人はまた通常通りに増えていきましたのでニューヨーカーの回復のスピードも速いんだなーとも思いましたけどね。

さてさて、出社はなくなりましたので往査もなくなりました。もちろん0外出です。監査という業務上、お客さんが財務諸表に対する何かしらのごまかしや、コンプライアンスの違反などがないかどうかかを確認したり、様子をみたりという意味で直接顧客に会ったりのオフィスや状況を見ることができる往査という行動は監査業務と切っては切れないだろうな、と思っていましたが、やろうと思いえばリモート監査もできてしまうものでした、これはやっぱりやってみるまで実感がわきませんでしたが実際に財務諸表にサインがされてお客さんへPDFを送ってみて「あ、そんなもんなのかな」と感じましたね。やってみればできるものだ、と。

その後の変化としては私の事務所では2021年の9月から週一での出社が目標とされるようになりました。絶対ではありませんが、目安として決まった部署によって指定された曜日に各部署従業員はくるようにとのお達しです。2023年1月現在もそのような運用になっていて、僕は個人的に事務所の方が作業がしやすいのと本を読むためにバスに乗りたいのでよく出社しています。対多数はリモートで働くほうが便利(特に私の事務所は育児中のお母さん監査人も多い)なので出社は少数派ですが。

往査についても現在NYやニュージャージーではビジネス上の訪問は難しくなく、エンゲージメントによっては往査をすることもだんだんと復活しています。やはり直接顧客とやりとりするというのは監査業務を行う上では重要ですし、健全だと思います。

そしてもっと問題を孕みそうなのは在庫棚卸立会です。これは本来は監査人が直接お客さんの倉庫に行って在庫を実際に数えるわけですが、コロナ後は当然立会にもくるなと言われている状況ですので、これをスマホのカメラを使って遠隔でやるという、、、考えられない荒業なんですがコレを現在においてもやっています。

そもそもですね、本当に帳簿上にあるとされている在庫が本当にあるかどうか数えに行くわけです。これをケータイのカメラを使ってやろうものならやろうと思えばごまかし放題だとおもうんですよね。空箱にラベルを付けて詰んでおいたり、空間の把握がしにくいから、あたかも別のものを数えるふりをして、同じものを2回数える事だって簡単だと思います。

ですんで棚卸立会に関してはなるべく早い通常プロセスへの復帰が監査業務上は必須だと思います。空気的には来年くらいからそのようなやり方が多数になっていくのかな、と感じますが、、、どうでしょうか。もし別の事務所、もし別の国で監査業務をされている方がいれば是非情報交換したいです、ご連絡ください! 

こちらのブログ主はアメリカの会計業会に興味のある方や、アメリカで働きたい方へボランティアで相談に乗っています! 興味のある方はコメント欄からご連絡ください!

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