ニューヨーク近郊の会計士 仕事日記 5 監査人の昇給と昇進について スタッフ ~ シニアマネージャー 編

ニューヨーク近郊の会計士の日記

このシニアを苦労して乗り越えると次になるのはAudit Managerです。一応中間管理職的なポジションとなっており、中ボス的な存在です。シニアまでは会計士の資格なしでもなれましたがいよいよマネージャーからは有資格者オンリーの職階となります。もうすごい仕事がメチャメチャできる、スーパーシニアでありながらマネージャーには上がれない、という事も起こり得ます(資格については実務よりも試験勉強の頭脳戦と対策であるため)。

このマネージャーの仕事と言うと各顧客エンゲージメントをつまるところ「最初から最後まで」面倒みるところにあります。主ににはレビューが仕事で各調書はシニアやスタッフに指示を出してやってもらうのですが、その中でも各問題点の解決、メモの作成、それと並行して会計監査上の解釈におけるリサーチ、重要会議に参加して外部的、内部的な重要トピックスを解決するのはマネージャーの役割です。

またスタッフやシニアまでは一時期に一つのエンゲージメントに集中して従事するの対し、マネージャーは同時に複数のエンゲージメントに対応します(もっともこのスタイルの違いは事務所によります)。監査人としてのエンゲージメントの仕事については上記に書いたように始まりのセットアップからエンゲージメントバインダーのアーカイブ(監査調書作成の終了)まですべて確認するところまで責任を持ちます。また、小さいサイズのレビューエンゲージメントを任されれば一部シニアやスタッフなどに手伝ってはもらえるものの、基本的にすべての調書の作成、もしくはレビューを行います。そして自身で担当していないエンゲージメントのQC(Quality Control: 品質審査)を依頼されるのもこの段階からです。

マネージャーになると、仕事はこれだけに収まりません。部分的には新規の顧客エンゲージメントの対応、営業、ルーティンの顧客エンゲージメントについては今期の引受け業務の選定補助、料金交渉業務、さらには翌期エンゲージメントの人員振分け、時間工程予算の作成レビュー、チームメンバーの業務成績評定、昇進評定、採用活動、面談などその業務は広いものになっていきます。

この忙しいマネージャーですが給料は一年目で大体$100K(1300万円)から、一年おきに$12K(156万円)くらいの昇給がBig4ではあるようです。

上記のマネージャーを3年もやると次はSenior Managerとなります(通称シニマネ)。シニマネというともう幹部予備軍というイメージです。その上はマネージングディレクターやパートナーしかなく(ただ大規模な事務所になるとパートナーにもそれなりに階層だったものがある模様)シニアマネージャーが実務の現場では重要事項をすべて取り仕切っているようなイメージです。ただ、マネージャーとシニアマネージャーにどのような違いがあるのかについてはシニアとマネージャー間のような明確な違いがあるわけではなく、扱うエンゲージメントの大きさとは取り扱い事案の重要性の高低が関係するものであるとも思います(実際僕がシニアの時にシニマネに「マネージャーとシニアマネージャーって何が違うんですか」と聞いた時にそのシニマネの回答が「僕もよくわかんないんだよね、、、、」ということだったので、”まあ、そんなもんなのか、、、”と思ったものです)。

監査人というのはスタッフからマネージャーまで同じ系統の専門性を持つわけですのでそれぞれの業務をプレッシャーに負けずどれだけ早く、沢山の量をこなしていけるかという点で、マネージャーとシニアマネージャーの技量の違いにもなるかと思います。そしてそれは往々にしてどれだけ人をうまく使えるか、の能力、つまりマネージメントスキルといえそうです。パートナーに準じるような会計監査に関する知識や事務所の運営術が必要になったり、またシニマネになると事務所内の機密性の高い重要業務を任されたりもするでしょう。

シニアマネージャーになると給料は$135K(1,755万円)くらいから、平均で$151K(1,963万円)程度ですがシニアマネージャーについては何年やったら職階が上がる、というのは決まっていません。このあたりの事情については次回のディレクター、パートナ―編でお伝えしていきます。

さてさて、一応注意書きですが、ここで記載した目安となる給与は主だったウェブサイトを参考にBig4(ニューヨークエリア)でのデータを基準として書いていますので、事務所の規模等により大きく上下することがある点はご注意ください。ちなみは僕の勤める中小・中堅規模事務所では実際の金額はBig4と比較し相当に落ちます(今の僕のポジション、マネージャーで20K以上減)。

転職しないのはそれでも今の職場が良い理由があるからなのですが、風通しの良さやワークライフバランスは会計事務所の仕事としてはなかなか得難いものでしょう。

さて次回はもっとディレクターとパートナーについて詳しく書いていきます!

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